2019年5月3日(日本以外は同年5月10日)に公開された映画「名探偵ピカチュウ」の感想です。内容のネタバレはあります。
- 名探偵ピカチュウとは
- 「ポケモンのいる世界」を描くために
- ゲーム版との違い
- ピカチュウのキャラについて
- 原作へのリスペクトにあふれていた
- 英語圏ファン向け小ネタも?
- 衝撃の実写CGビジュアル
- まとめ
- ポケモン実写の試みは初めてではない。伝説の舞台作品「POKEMON LIVE!」
名探偵ピカチュウとは
ポケモン初の実写ハリウッド映画。同名タイトルのDSのゲームを原作にしています。(https://www.pokemon.co.jp/ex/meitantei_pikachu/)
なぜか人間の言葉を、それも渋い声でしゃべるピカチュウと、行方不明の父を探すティム少年が主人公のおはなし。原作になった同名ゲームはプレイ済みですが、映画とは結構いろいろ違いました。原作ゲームやポケモンを知らなくても楽しめる内容になっています。
「ポケモンのいる世界」を描くために
ポケモンを実写化しよう、となると、原作ゲーム(赤緑からはじまるポケットモンスターシリーズの方)またはTVアニメの実写が真っ先にイメージされるところですが(後述するPOKEMON LIVE!しかり)、そのようにはせず、実写用の原作を用意した(と個人的に勝手に予測している)のは、良い選択だったと思います。ポケモンのいる世界を実写化するのではなく、現実の世界にポケモンを出現させる、もしこの世界がポケモンのいる世界だったら?をやってみたかのような、ポケモンと人間の共存のイメージ。
個人的には、コッチの世界にポケモンが出現するより、自分がポケモンの世界に行きたい派だったりしますが、まあ実写の手法としては、ポケモンをコッチの世界に出現させるのでよかったと思います。
ゲーム版との違い
主人公や町の名前、謎の薬「R」、父が行方不明などは共通。ゲーム版は「これからも二人の謎解きは続く...」という終わり方でしたが、今回の映画はしっかり完結しました(ゲームも完結編がでることが、ポケモン事業戦略発表会で明かされました→https://www.famitsu.com/news/201905/29176962.html)。名探偵ピカチュウゲーム内において、モンスターボールが一切出てこないことについて、実写映画で理由設定が付け加えられていたのは好きです。ゲーム版をプレイした影響として、ゲームの方のミュウツーが別に悪いやつではないことを知っていたので、ミュウツーが黒幕だと疑われている展開にしばらく理解が追いつかなくて少し困ったりはしました。
ピカチュウのキャラについて
名探偵ピカチュウゲーム版では、ピカチュウがおじさん設定なことと、制作スタッフの価値観がアップデートされていないがために、ピカチュウがセクハラ的言動を繰り返していましたが、さすがにハリウッド、そこはマシになっていました。中の人(ライアン・レイノルズ)が有名なようで、そっちの影響もあるのかな?デッドプール観た方がいいですか。
原作へのリスペクトにあふれていた
ゼニガメが火事を消していたり、カビゴンが道をふさいでいたり、もちろんエンディングも!細かく上げだすときりがないですが、ゲーム・アニメ・漫画など、これまでのポケモン作品へのリスペクトが感じられたのがよかったです。登場ポケモンの出身地方がカントーに偏らずばらつきがあるのもよい。恐らく一時停止しないとわかりにくいものもありそうなので、円盤が出たら確認したい。
英語圏ファン向け小ネタも?
ハリウッドという英語圏で制作されたこともあり、日本のファンにはわかりにくいネタもありましたが、これは日本で公式が解説してくれてたりはしないのかなと思ったり(自分のリサーチ不足か?)。例えば、悪役の親子がテレビ収録に臨んでいるシーンで流れていた曲は、「Pokémon Theme」(Gotta Catch 'Em All とも呼ばれる)という、日本でいうところの「めざせポケモンマスター」にあたる曲、つまり英語圏アニポケの初代OP曲です。これはテンションがあがる。橋の上でピカチュウが泣きながら歌っている曲も、この曲です(歌っているのは字幕版のみ)。カッコイイ曲なのでよかったら聴いてみてほしい(Original Pokemon Theme Singer Jason Paige In Studio Full Pokemon Theme Song - YouTube)。また、ティムの父が住んでいるアパートの名前が「OAK」でしたが、これはオーキド博士(Professor Oak)の名前から取っているものかと思われます。おそらく他にも小ネタが色々あるのかも知れませんが、残念ながら日本語圏のファンなのでこれ以上はわかりません。
衝撃の実写CGビジュアル
最初にピカチュウのビジュアルを見たときの違和感は忘れましたが、このビジュアルが好きかと言えば、このビジュアルだからこそ受けた層がいたならよかったんじゃないですかね、という感じ。正直ツルツルのCGもそんなに好きじゃないけど、フサフサのCGもそんなに…。やっぱりポケモンは線画のイラストかドット絵が好きです。ゲームメインシリーズがドット絵から3DCGになったこと、まだ根に持ってます。
まとめ
ストーリーのご都合主義感は感じましたが、登場人物が多くないのはわかりやすくて個人的に良かった(人の顔を覚えられない)。町中に大量のポケモンが、人と共に歩いているのはうらやましい限りでした。それにしても、ミュウツーに、ポケモンと人を融合(?)する力があることになってて??ただ強いだけのオリジナルから、ずいぶんといろいろな可能性が増えたもんです。ポケモンの表現・世界観を広めるという意味で、よい作品だったのではないかと思います。
続編をやるとしたら、世界観(ライムシティのある世界)は共通で、登場人物はがらっと変えるとかありそう?ともかく今は、円盤とゲームの完結編を待ちます。
しわしわ顔ピカチュウに人気がでていてびっくり。映画の半券提示でステッカーがもらえるキャンペーン自体は、毎年夏のポケモン映画の時もやっていますが、もしかして人気が出てからステッカーの配布を決定したのでは?とも思ったり。
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以下、おまけ。
ポケモン実写の試みは初めてではない。伝説の舞台作品「POKEMON LIVE!」
実は、公式がポケモンを実写作品として作る試み自体は珍しいものではないです。最近だとポケモンGOのCMなんかは、実写的な描き方をしています。
※YouTubeに上がっていた動画のひとつ(https://www.youtube.com/watch?v=IOLCXzaSSKc)が非公開になっていたので、記事上から削除しました。
また、20年近く前、アニメを原作に実写舞台化した「POKEMON LIVE!」という作品がありました。あくまで海外でのみの公演なのですべて英語ですが、フルバージョンの映像がネット上にありました(今後公式から映像を再配信する可能性は低いと思われるので載せちゃう)。
知らなかった人には見てみてほしいので紹介。画像が荒くて見にくいですが、なんともいえないヤバさは伝わってくると思います。キャラクターの名前(サトシはAshとか)さえ予習しておけば、英語がわからなくてもそれなりに楽しめると思いますのでぜひ。
〈更新履歴〉
【2023年3月17日JST】無駄な■を消しました。目次を設置するなど、体裁を整えました。「POKéMON LIVE!」の動画のひとつが非公開になっていたので、記事から削除しました。