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ポケモンのStopAsianHate対応

2021年3月26日、「The Pokémon Company International」のTwitterアカウントが、「#StopAsianHate」「#StopAAPIHate」のタグを付けた投稿を行いました。

 

本文は画像による投稿だったため、改めてテキストに起こしました。こういう大事なメッセージは、画像ではなくちゃんとテキスト化してほしいものです…。

The Pokémon Company International,inc. stands in solidarity with our Asian and Pacific Islander employees, fans, and communities.
Hate,discrimination, and racism are no tacceptable to us.
Harassment and violent attacks toward Asian and Pacific Ilander communities require attention from all of us and are a resounding reminder that we must continue to condemn recism in all its forms.
The Pokémon Company International,inc. will be providing $200.000 in total to organizations working to bring awareness to this issue and who support Asian and Pacific Islander communities. We look forward to sharing the names ofthese organization soon.

 

#StopAsianHate

 

まとめると、「ザポケモンカンパニーインターナショナルは、アジア・太平洋諸国の人々への差別に反対である」「20万ドル寄付をする(詳しい団体名は後日)」ということのようです。

 

なぜ今このようなコメントや寄付がなされたのかといえば、3月16日(現地時間)にアメリカで発生した銃撃事件がきっかけになっています。

アメリジョージア州アトランタにあるマッサージ店が襲撃され8名が亡くなり、そのうち6名がアジア人女性で、容疑者は白人男性でした(参考:#StopAsianHate に著名人も参加し、抗議運動が拡大。アジア系女性6人らが死亡した銃撃事件 | ハフポスト)。

レイシズムとセクシズムが合体したような事件ですが、とりわけアジア人が狙われたことについての関心が大きいのは、新型コロナ(COVID-19)が最初に中国で問題になったことがアジア人ヘイトに利用されている情勢も影響しているのではないかと思われます。

 

ある事件を発端に、人種差別反対の抗議が大きく広がったことといえば、昨年(2020年)の「BLM(Black Lives Matter)」があります。この時も、株ポケインターナショナルは差別への抗議のコメントと、寄付する旨を発表しました(自分でまとめた記事はコチラ)。今回も、この時と似たような対応がなされているようですが、日本版の対応は相変わらずダメそうです。

 

■日本と海外の対応差について

今回のコメント・寄付に関して、日本のポケモン公式Twitterアカウントはというと、今のところ(4月1日現在)音沙汰無しです。BLMの時は少し遅れて寄付の報告をしていましたが、そもそもなぜ同じくらいのタイミングでコメントを出せないのか不思議です。とりあえずでもリツイートくらいしとけばいいのに。

案の定、増田順一氏もダンマリのご様子。ポケモンインターナショナルの投稿に気付いていないか知らない可能性もありますが、別にそれとは関係なく#StopAsianHateのタグを付けた投稿をしてもいいわけなので、「人種差別の問題をスルーする」政治的態度を増田氏はとっているのだろうと判断されても致し方ない感じです。

やはり基本的に、日本と海外での社会問題への関心の差が存在しているようで、とても残念に思います。メッセージや寄付とまではいかずとも、年に一度の「(社会の公平性を求める)〇〇デー」のような日を祝う行いを、ポケモン公式Twitterは難しいかもしれませんが、ポケモン情報局のようなカジュアルさを売りにしたアカウントにおいて、投稿または英語版のリツイートなどをしてもいいのではないでしょうか。

ちなみに例えば、「Pokémon UK」のTwitterアカウントは、最初に紹介した株ポケインターナショナルによる#StopAsianHateのツイートをリツイートしましたし、3月8日には、様々な肌の色をしたマッチョな腕の絵文字(?)と共にガラル地方の女性キャラクターの画像を投稿していました。言葉によるコメントこそありませんでしたが、3月8日は国際女性デーのため、恐らくこの日を祝うための投稿であったと推測されます。なお、ポケモンインターナショナルも、この投稿をリツイートしています。

 

果たして今後、日本語版アカウントは何かしらコメントを出すのか。どのような政治的態度を示してくれるのか、いちポケモンファンとして見張り続けます。

 

ポケモン25周年おめでとうございます

ポケットモンスター 赤』『ポケットモンスター 緑』が1996年2月27日に発売され、今年2021年2月27日25周年を迎えました。おめでとう!!!

 

ファンにとっては当たり前の事実ですが、「ポケモン」の原点は、アニメでもマンガでもなくこのゲームボーイ用ソフトになります。この日が「ポケモンデー」になっているのもそのためです。

この記念すべき日に合わせて、今年は「Pokémon Presents 2021.2.27」という映像が公開され、ダイパリメイクとレジェンズアルセウスが初お披露目されました。詳しい感想は別に書いたのでここでは触れません。 

bitouroupoki.hateblo.jp

 

ポケモンデーの公式サイトもあります。

pokemonday.pokemon.co.jp

 

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この先何度も繰り返し話すと思いますが、5周年10周年の時は、「ポケモンすごい!おめでたい!」という気持ちがすごくあったのですが、25周年ともなると、20周年の時との差があまり感じられず(?)「まあ当然の結果ですね」と落ち着きを払ってしまいます。マジで20周年つい最近やらなかったっけ?という感覚。

余談ですが、2021年現在4世代は「ちょっと昔の作品」5世代は「比較的最近の作品」というイメージが個人的にあります。少し前までは3世代が「最近の作品」だと思っていたはずだが??

 

ところで海外広報はしばらく前から「25周年だよ~」繰り返しているのと比べ、日本語版はあまり言及がなかったですね。なんで?

 

 

海外版の25周年おめでとうムービーもいいですね。ピタゴラ装置風にこれまでの舞台となった地方やグッズやコンテンツなどを振り返る感じ。日本で未発売のグッズなんかもちらっと映っていてちょっと笑いました。

 

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個別の作品ごとの思い出はあっても、「ポケモン(全体)の思い出」は語るモノがありません。なにせポケモンは「過去」にはなっていないため、振り返って思い出すものにはなっていないのです。

 

昔の話はできないので、未来について考えます(要望と批判)。

まずは公式による供給についてですが、最新作も発表されたように、まだまだ続くようです。現在第8世代(ソード・シールド)まで登場していますが、今後いずれ第9世代なんかが出てきたりするのかな。出るとしても、その情報がでるのは早くて来年2022年末くらいか2023年にはなるだろうし、今は目の前のBDSPとレジェンズについてのみ考えていればよさげです。次世代があるとしても、本当に10年後とかでかまわないので、時間をかけて良いモノを作ってほしいです。毎年何かやろうとしなくていい。これといった新情報を出さない期間が何年あってもかまいません。マジで。

また、ゲームなどの内容についてですがは、まず早急に公式側の人間は動物倫理や環境と動物、畜産などについて勉強してほしいです(参考:動物倫理)。剣盾カマスジョーの図鑑説明文「その身は驚くほど美味しいらしい」とか酷すぎです。サブロムのソードの旅パにサシカマスを入れて進化させたらこの文章が出てきてめちゃくちゃショックでした。ポケモンの遺体を想像させる文を、ポケモンが好きな(ハズの)人の前に出すとか嫌がらせか?ポケモン同士の捕食・被捕食の話ならまだしも(被捕食者の苦しみについても軽視してほしくないが)、人間によるポケモン殺害を示唆させる内容を無批判的に載せるのはアウトでしょ。正直自分も、魚のことは他の陸上動物より一層軽視していた自覚はあるので、強く責められるわけではないですが、菜食の話題を頻繁に目にするようになってきている中で、魚も痛みや喜びを感じる存在であるということを「知らなかった」で通すのは無理がでてくると思うし、そもそも本当にポケモンが好きだったり興味関心があるなら、(たいして興味が無いとしても仕事として扱うわけだし)そのモデルになった現実世界の動物たちにも強い関心があってもいいですよね。その中で魚を含む動物達の情感についてや、”経済動物”がどのような扱いを受けているかについて知ることもあるだろうし、そういう人がひとりふたりくらいでも、ポケモンを描く側の人間にいてほしいのですが、まったくいないんでしょうか?動物利用に関しては、ドキュメンタリー映画なんかもあるので興味があったら見てみるといいと思います。「やはり人間は愚か…」をこれでもかというくらい実感できるのでオススメ。※かなりグロいシーンがあるので閲覧要注意。youtubeの設定で日本語訳を付けられます。

https://www.youtube.com/watch?v=LQRAfJyEsko&has_verified=1

https://youtu.be/thFyxG5_V4c

切実に、人間中心主義者(非人間動物蔑視者)はポケモンの表象にかかわらないでほしい。こっちはポケモンが大好きなのに、ゲーフリの人間がポケモンを嫌いすぎる。

 

また、「新たな遊びを提供し続けること」も確かに大切ですが、そもそもの土台が崩れてしまうようではしょうがありません。現状を見る限り、社会・環境・モラルに関して、ポケモンは決して十分な対応をしているとは言い難いです。

例えば多くの人々にとって、ゲームを遊んだりグッズを買ったり遊んだりする余裕がいつまであるのかということです。要は、安全保障の基盤が崩れたらポケモンどころではなくなるのに、それに対する必須の迅速で適切な対応が今のところなされていないため、足下の崩壊によってポケモンもフェードアウトしていくのではないかという危機感があります。

問題はスケールが大きく山積みですが、企業(や個人も)ができることとして、簡単でわかりやすい手段は既にあります。その最たるものが、動物の搾取から手を引くことなんですが*1、どうも取り組む気配がないのでとても残念です。「ポケモン」は、世間から強く非難される(炎上する)ネガティブなこともしない(もっと悪いモノが多いので埋もれているだけという側面もある)が、ほかより一歩進んだプラスな取り組みも行わない、という印象*2ですが、このままだと中立な立場にいるはずが、気がついたら強く非難される側に立つことになりそうな予感。(参考:パンデミック

今回の25周年記念のポケモンカフェのメニューも、何も言及されていない以上、乳卵など動物性原料をしようしてるだろうと考えられるので、大変がっかりしました。こちとら早くまたポケモンカフェに行きたいんだが??さすがにもしまだ植物性オンリーのメニューの開発すら始まっていないなら遅すぎですよ…。

グッズに関しても、ポケモンセンターオリジナルグッズはチョコに片っ端から乳製品が含まれているし、リーメント食玩はガムにゼラチンが入っているし(これはマジでむかつく、邪魔すぎる)キレそう。ミルクならライスミルクでよくないか?

確かに動物倫理をポケモンに反映させようとすると、ポケモントレーナーの存在が危うくなるのは難しいところですが、少なくとも現実世界の商品から、非人間への搾取をなくすことは容易にできるのではないでしょうか。もちろん製造元で児童労働や健康被害などがないかどうかも把握するべきだし、「香害」についても知っておかないとです。無関心な消費者の多さに甘えないでほしい。

 

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自分はポケモンをずっと好きでいたいし、ポケモンが誰かを傷つけたり苦しめたりする存在であってほしくはないと切に思います。

果たして5年後に訪れるであろう30周年の区切りの時、2026年にはどのような世界になっているのでしょうか。自分も生きているか怪しいけど、ポケモンの扱いが今よりマシになっていることを祈ります。

 

25周年イラスト

 

*1:特に工場式畜産は、気候危機や食料問題、パンデミックなどの主要な要因であることは有名。

*2:最近のキャラクターの肌の色は多様だし女性を性的に強調する表現も少ないが、同性愛者などの性的マイノリティは頑なに出さなかったりする。もっとも剣盾では異性愛描写もほとんどなく快適ではあったが。

Pokémon Presents 2021.2.27 感想

ポケモンデーでもある2021年2月27日(土)午前0時に公開された「Pokémon Presents」の感想。

 

該当の動画はコチラ↓

www.youtube.com

 

今回発表された新情報は2つ。

 

ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド』『ポケットモンスター シャイニングパール』について初公開、2021年冬発売予定

『Pokémon LEGENDS アルセウスについて初公開、2022年初頭発売予定

 

また、「Presents」冒頭では、『Pokémon 25 Years of Non-stop Adventure』という、これまでのポケモンの歴史を振り返る動画と、2021年4月30日発売予定ですでに予約受付を行っている『New ポケモンスナップ』の最新映像も公開されました(既に予約済です)。

 

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2月27日はポケモン25周年ということで、何かあるだろうとそわそわしていましたが、二日前の2月25日にPokémon Presentsの予告が公式Twitter上でなされました。午前0時って子供泣かせの時間だと思うんですけど今更かな…。海外でも同時公開することを考えると、夜中か早朝になっちゃうのは仕方ないっちゃ仕方ないか。

 

それにしても、「ポケモンダイレクト」とか「ポケモン新作発表会」とか「ポケモン事業戦略発表会」とか、どうして名前を統一してくれないんでしょうか。任天堂は「ニンテンドーダイレクト」でずっとやっているのに。

 

■Pokémon 25 Years of Non-stop Adventure

ポケモン25周年ということで、これまでの軌跡を振り返るスペシャルムービーが公開されました。

www.youtube.com

日本語の公式YouTubeで公開されていますが、日本以外の世界中のポケモンファンへ向けてまとめられているなと思いました。ゲーム画面やパッケージの言語もバラバラだったし、冒頭の『赤・緑』は日本のファン向けだけど(海外で最初に出たシリーズは赤と青だった)、途中で出てくるオンラインカードバトルは日本では遊べません。

個人的にはスピンオフゲームが結構取り上げられていたのが印象的でした。リメイクでも出ない限り、スピンオフについて公式が言及することってあまりなかった気がする。

いろんなおもちゃとかシステムとか、当時の自分のリサーチ力では把握できなかったものも結構あるので、こんなのもあったんだなぁという発見も多かったです。当時から自力で情報を調べたり理解したりできた年上の人間が羨ましいなといつも思います。

 

■新発表①『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド』『ポケットモンスター シャイニングパール』

はい、ハイハイハイハイついに来ました、ダイパリメイク。ずっと前から期待されていたし、いずれは出るだろうと思っていましたがついに。ポケットモンスターシリーズ発売の流れ的にも順当なところです。サブタイトルの名付け方もこれまでを踏襲した「〇〇+オリジナル時の名前」で来ました。略称は「BDSP(Brilliant Diamond and Shining Pearl)」のようです。

www.pokemon.co.jp

 

なんというか、再現性が高いリメイクになりそうですね。マップはマス目式だし、主人公の見た目も昔とおんなじ??

ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド』『ポケットモンスター シャイニングパール』は、2006年にニンテンドーDSで発売された『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のリメイク作品です。ストーリーは当時の内容が忠実に再現され、さまざまな遊びがNintendo Switchで色鮮やかに蘇ります。

シンオウ地方を旅したことがある方も、初めての方も、懐かしくも新しい冒険の始まりを楽しみにしていてください。

 

トップページ|『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』公式サイト(閲覧2021年2月27日)https://www.pokemon.co.jp/ex/bdsp/

 「ストーリーは当時の内容が忠実に再現され」ているそうです。グラフィックや操作性などを向上させてSwitchで遊べるようにしたダイパって感じになりそう?(オリジナル版のセーブ時間の長さといったら…) シンオウ地方を舞台にした作品は、『ダイヤモンド・パール』のマイナーチェンジである『プラチナ』も存在しますが、恐らくプラチナのストーリーは無視されそうな予感。

ストーリー以外も、これまでのリメイク作品と比べて原作再現度がかなり高めに見えます。昔の公式絵と今回のグラフィックを見比べてみましたが、基本的なデザインに変化はなく顔つきが少し変わったくらいしか違いがわかりませんでした。いろいろ再現するのもいいのですが、逆にあまり新要素が追加されたりしないのかなというのもちょっと不安になります。まったく同じであれば買わないという人もいそうなので、そちらに向けてのアピールも必要になりそうだと思うし、ジムリーダーなどは仕方ないにせよ、モブトレーナーの肌の色とかまで当時のまま、黄色オンリーで再現されるようなことにはなってほしくないです。

カメラがほぼ上から固定でカメラワークを動かさなくて良いのは、画面酔いの不安がないのでありがたいです。ただ、等身の高い人間のグラフィックやワイルドエリアを出した『ソード・シールド』の後に出すゲームにて、6世代をちょっと彷彿とさせる2頭身なグラフィックを出すとは…?と思っていたら…!(後述)

DPt(※ダイヤモンド・パール・プラチナの略)はDS用のゲームなので、上下2画面で遊べる仕様でしたが、今作が出るSwitchは1画面になります。当時はポケットモンスターシリーズ初のDS対応ゲームだったので、2画面を生かしたシステムとして「ポケモンウォッチ(ポケッチ)」なんかもありましたが、これはどのように再現されるのか気になります(主人公のグラフィックにはポケッチを装着しているのが見えるので存在はありそう?)。他にも、コンテストもあるのかなぁとかきのみの育て方は昔と同じかなぁとかリストラされるポケモンはいるのかとか、色々思いつく。「ユニオンルーム*1」と「ちかつうろ」っぽいものは今回の映像に映っていたので登場しそうですが、まだまだ登場未確定の要素も多いですね。

ポケットモンスター」シリーズにもかかわらず、開発がゲームフリークではなく「株式会社イルカ」というところが担当し、ディレクションにゲーフリの増田順一氏が付く形になっていることにびっくりしました。ゲームメインシリーズはずっとゲーフリが開発していましたが、ここにきて初の開発委託って感じ?昔に比べ、グラフィックなどの向上に伴いゲーム開発も人手と時間が一層かかるようになっているということでしょうか。

発売は「2021年冬」ということで、妥当な時期ですね(ポケモンシリーズはたいてい秋か冬に発売される)。あと1年弱くらい待つことになるのか。

 

■新発表②『Pokémon LEGENDS アルセウス

ダイパリメイクはずいぶん懐古的で守りに入ったなぁと思ったら、次!!昔のシンオウを舞台にアルセウス??

www.pokemon.co.jp

ダイパリメイクは想定内なのに対し、こたびの想定外ポイントは「新世代の新作とは異なる完全新作」の登場です。

世界を巡り、ポケモンを捕まえ、図鑑を作り上げていく遊びは、『ポケットモンスター』シリーズならではの大切な要素です。『Pokémon LEGENDS アルセウス』でもこれらの遊びは大切にしながら、これまでの『ポケットモンスター』シリーズの枠を超えた新たな体験をお届けしたいという想いから、「アクション」と「RPG」が融合したかつてない表現に挑戦しています。

ポケットモンスター』シリーズの新たな扉を開く『Pokémon LEGENDS アルセウス』に、どうぞご期待ください。

 

トップページ|『Pokémon LEGENDS アルセウス』公式サイト(閲覧2021年2月27日)

https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/

つまりこれも「ポケットモンスター」シリーズと捉えていいということでしょうか。ロゴのタイトルが、これまでずっと日本語カタカナで「ポケットモンスター」となっていたところ、今回初めて日本語版も「Pokémon」ロゴを使用するようでちょっとびっくり。

ソード・シールドでは、ワイルドエリアなど一部区間のみ、自由に動き回れてカメラ操作もできるようになっていましたが、それがとうとうゲーム全体で、そのようなフィールドの仕様になりそうな感じです。

「大昔のシンオウ地方」を舞台にするようですが、本当にかなり昔っぽい感じで、どの辺りの時代を参考にしたのかなぁと思いました。シンオウ地方のモデルは、地図を見れば一目瞭然の北海道なわけですが、寒い地域であること以外、北海道要素は少なめな感じだった気がしますが自信はないです。まああまり北海道を意識することになると、アイヌに対する和人の問題とかに触れざるを得ず、民族的なモノの影が薄いポケモンゲームにおいてそれを扱うのは難しいと思われるため、現実の北海道とはあまり比較せずに済むように作るのが無難な選択なのかなと思います。なお、服装や建物のモデルを調べればある程度時代や場所の元ネタがわかるかもしれませんが、知識が無いので自分ではわかりません。見たところ服装とかアイヌっぽくはないのでは、くらいには思いますが、どうでしょう…。

モンスターボール」の仕組みや歴史については諸説ありますが、どうやら大昔からその原型が存在することになるようです。ポケモン世界のテクノロジーはすごい。

ところでポケモン世界、昔はポケモンに対して酷い扱いをしていた、ということが図鑑に記載されていたりするのですが、その辺りも再現されちゃったりするんでしょうか…。背ビレが食材として使われていたサメハダーとか…。今のシンオウ地方とは異なる生態系ということで登場する可能性も全然ありますし。

アクションも行えるとのことで、フィールドにてでんぐり返りをする主人公の姿が映ります。「アクション」と「RPG」が融合するようなので、例えばフィールド移動の際に崖を登ったりするようなアクションでもあるのでしょうか。また、ポケモンバトルもあるようですが、どんな感じになるのか映像だけではまだよく分からない感じです。

最初に選ぶポケモン、通称「御三家」は「モクロー」「ヒノアラシ」「ミジュマル」から選ぶことになるようです。それぞれ7世代、2世代、5世代からの選出で、4世代の御三家は外してダイパリメイク(BDSP)との差別化にもなっている感じでしょうか。ま~た初代カントーかよ、みたいにならなくてよかったです。

アルセウスがパッケージを飾るということで、幻のポケモンポジションなのにゲームメインシリーズのストーリーの中心になるようでびっくり。ここ最近の幻のポケモンは特に、ゲーム内におけるエピソードがほとんどないので、こうやって突然持ち上げられることもあるんだなぁとしみじみしました。

大昔は「かがくのちから」が現代よりずっと未発達な時代なわけですが、通信交換とかもろもろもどうなるのか分からないし、予測不能の楽しみはコチラでどうぞという感じかな?発売は来年2022年初頭予定ということで、ダイパリメイク(BDSP)の2021年冬発売と時期が近いんですが、もっと先の発売でもコチラはかまわないですよ…。それにしても今度こそ、全ポケモンポケットモンスターシリーズで出会いたいものです。

 

■その他

これの新情報が出るのでは?と予想されながらも、何もなかったヤツもいくつかあります。

未だリストラ状態の子達もいるし、『ソード・シールド』のエキスパンションパス第3弾とか出ないかなぁと思っていましたが、今年と来年に新しいポケットモンスターシリーズのゲームが出るとなると、コチラは望み薄な感じですね。

また、過去に発売を予告したゲームとして『ポケモンSleep』『Pokémon UNITE』、そして『名探偵ピカチュウ』の完結版をSwitchで出すという話がありましたが、続報なしでした。

ポケモンSleep』は、2019年5月29日に行われた「ポケモン事業戦略発表会」の時点で「2020年リリース予定」としていましたが、2021年2月現在でも音沙汰がありません。2019年末ごろから今もコロナ(COVID-19)の問題は続いているので、開発が遅れている可能性も考えられますが、何のお知らせもないのはちょっと不安です。このままいつの間にか企画がおじゃんになるようなことがありませんよう、それなりに楽しみにまっていますので。

あと実はひっそり『Pokémon UNITE』のベータテスト版が、カナダのAndroid端末限定で行われるという話があるのでコチラの開発は進んでいるようです。こちらも無事に発売・リリースされますよう願います。

 

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ダイパリメイクは本当に満を持して、という感じだったのでどっしり構えながら映像を見たものの、それにしても昔と変わらなすぎてインパクトに欠けるかと思ったら、レジェンズアルセウスでどっきり!といった感じのプレゼンツでした。

そんな毎年どんどん新発表し続けなくてもいいのに…という不安もありますが、それはさておきやっぱり、これからはこの2つのゲームについての情報が小出しにされていくのだろうと思うとわくわくするし、これらのゲームをプレイするのも楽しみです。

 

*1:オリジナル版のユニオンルームは、ポケモンセンターの2階中央にある部屋で、ワイヤレス通信をつかって他のプレイヤーと対戦や交換などの通信遊びができる場所だった。

ポケモンシールドクリア 感想

発売から随分時間が経ってしまいましたが、2019年11月15日(金)発売の「ポケットモンスター シールド」をクリアした感想。ネタバレあり。※エキスパンションパスについては触れていません。

 

www.pokemon.co.jp

 

ざっくりいきます。

 

■ストーリなど

・主人公の見た目選択画面はこれまでと変わらず、性別を表記せず「あなたの写真を選んでください」でよかったです(攻略本とかだと相変わらず男/女表記だけど)。マサルとユウリ*1を上下ではなく左右に並べるのもまあいいと思う(上下関係を想起させにくいし)。

主人公を選ぶ画面のスクショ

・主人公の着せ替えは、男女の垣根をなくしてほしかったです。ちょうど『どうぶつの森』がそうしているように、髪型も服装も、いつでもどれでも選べるようにしてくれたらよかったのになと思いました。

・ストーリー中のムービーにおいて、主人公の表情がそこそこ動いていてよかったです。『サン・ムーン』で基本笑顔が張り付いていたのはどうかと思っていたので。

・ジム戦に力を入れていたようですが、カメラワークや音楽などで盛り上げていてかっこよかったですね。スポーツ観戦のようなイメージでしょうか。

・ライバルやジムリーダーなどのキャラクターもみんな魅力的でよかったです。なんか一癖あったり主人公を気にかけてくれたりみんな好き…。モブキャラも含めて肌の色が多様なのは、もはや当然なのでいちいち褒めませんが、いいと思います。

・ライバルは3人いましたが、それぞれに成長や物語があってよかったです。3人もいるのかよ、と最初は思いましたが、それぞれが印象に残るよいキャラでした。

・ホップはメインのライバルのようで、最終的に伝説のポケモンを仲間にしたのでびびりました。これまでゲームメインシリーズにおいて、女性ライバルってほぼいなかった(男主人公を選ぶと女主人公が出てくるパターンくらい)ので、時々ポケモンバトルをして競い合うマリィというキャラクターが登場してうれしいです。ビートくん、ピンクでした。フェアリータイプのジムリーダーやトレーナーが女性ばかりでどうなん、と思っていたので男性のフェアリータイプトレーナーが増えてよかった。

・あくタイプのジムリーダーは今作のネズが初ですが、開会式に出なかったりダイマックスを使わなかったり、主流のルールや規範から外れているという点であくタイプらしくありながら、基本的な倫理観はしっかりしている感じがよかったです。

・エール団、「○○団」という名前だけど別に悪役というわけではなかったですね。ちょっと妨害とかはしてたけど。ずっとやせ形しかいなかったしたっぱのデザインにぽっちゃりが登場したのはよかったんですが、なぜ男性のみぽっちゃりで女性はやせ形にしてしまったのか…。あといつの日かしたっぱ全員女性、みたいな団体が出てきてほしいんですがまだかな(昔のしたっぱは男性のみで構成されていたことがあるわけだし)。

・リーグカードおもしろいですね。自分で編集できるのもそうですが、登場キャラクターのカードがよかった。本編では語られないエピソードが語られていて読んでいて楽しかったです。

・ストーリーで印象的だったのは「大人は子供を守るもの」ということが繰り返し出てきたところです。主人公やライバルたちは「子供」で、ダンデやソニア、ジムリーダーたちは「大人」として、子供を見守り、応援する流れが多かったように思います。これは基本的なことでありながら、現実には守られていないことも多い(大人が立場や権力を行使して子供を搾取するケースは今もいろいろある)わけですが、フィクションの中だけでも「ちゃんとした大人」を出したのは感心しました。

・今作のストーリー上の敵ボスはローズでしたが、彼の立ち位置はちょっと不思議に思いました。「1000年後のエネルギー問題のために、決勝戦を中止する」ことについて、「中長期的な問題解決のためにできるだけ早く手を打つ」という考えは環境問題を想起しましたが、気候危機は1000年どころかターニングポイントまで10年を切るくらい切迫した問題なのでちょっと違うし、「目先の利益を優先する」のは現実にはローズのような既得権益を持つ、どちらかというと年配者が多いのでローズさん何者?と思いました。

 

ポケモンたちなど

・序盤から新ポケモンがわんさか出てきたのはよかったです。新作やってる感でワクワクしました。

・野生のポケモンの出現方法は、ランダム要素を残したシンボルエンカウントみたいな感じなんですね(しばらくよくわかっていなかった)。ポケモンに追いかけられるのはちょっと怖いけど、ポケモンがそこにいる感が増したのは良いと思います。

・カロスでもそうでしたが、伝説系のポケモンが少ないなと思いました。準伝がいない分、一般の新ポケモンが増えた感じ?

・アローラから続いておなじみのリージョンフォームで新ポケモンの実質的なかさ増し、いいと思います。それにしても「リージョンフォームでない方」を一言で呼ぶ呼び名がほしいんですが、今回も出てこなかった…。「これまでに発見されていた姿」も長いし、「ふつうのすがた」も変。ガラルの人たちにとってはリージョンフォームがスタンダードなんだろうから、「ガラルのすがた」を「普通じゃないほう」にすると、ガラル地方をほかの地方より下位に置くことになるため、「ふつう」呼びは不適切なので。

・伝説のポケモンはやはりかっこいいですね。昔はストーリー中に捕まえたポケモンを手持ちに入れることが多かったのですが、今作は殿堂入り後のエピソードにてパッケージの伝説ポケモンゲットでびっくりしました。

・発売前の情報でも伏せられており、パッケージポケモンの代わりに殿堂入り前にゲットできるネタバレポジションのムゲンダイナですが、ネットにつないでプレイしていたらちらちら下画面に映っているのが目に入って笑いました。ドットだからよくわからなかったのは幸いですが、ストーリ進度が遅い人間的にはビビります。

ポケモン図鑑のモーションがもっとあったらよかったなぁと思いました。倒れるところとか、いちいちバトルして確認するのもちょっと面倒だし。

・新ポケモンで一番好きな子はモスノウです。むしタイプのポケモンが好きなんですが(ほかのタイプのポケモンも好きだが)、蛾っぽい触覚とかがかわいくて好き。

・ストーリーをクリアした時のパーティはこちら。最初にメッソンを選んだのでインテレオンと、パルスワン、アーマーガア、ワタシラガ、イオルブ、マルヤクデの6匹です。毎度恒例、新作をプレイするときのパーティは新ポケモンで固めています。

旅パのイラスト

 

■要素・システム

・新たなバトルシステム「ダイマックス&キョダイマックス」ですが、これは結構好きかも。発売前は、デカくなるって単純な…と思いましたが、どのポケモンでもダイマックスできる点と、持ち物がいらないという点がこれまでのメガ進化やZ技と異なり、ストーリー中に気軽に実行できたのがよかったです。手持ちポケモンには基本、お小遣いアップアイテム(おまもりこばんとか)を持たせているので、持ち物が必要なシステムだとストーリー中に試す機会があまりなく寂しい思いをしていましたが、今回は気軽に新要素を楽しめてよかったです。

・自分よりずっと強い(HPが大きい)ボスキャラと戦う戦闘スタイルは、ほかのRPGでは一般的ですが、ポケモンの場合は同じような条件でのバトルになるためレベル上げを頑張っちゃうとワンパンで4タテ5タテしちゃうこともありました(自分がレベル上げをきちんとしてから進める派なので特に)。ダイマックスポケモンはこちらのレベルを上げてもそう簡単には倒せないので歯ごたえのある難易度になったのもよかったと思います。

 ・ワイルドエリアは画面酔いが不安だったのですが、思ったより酔わなくて大丈夫でした。いずれミニマップとか手に入るのかと期待していたのですが、ないようですね。ただでさえ天候によっては視界が悪くて方向が分からなくなることも多いので、マップはほしかったです。

・ワイルドエリアに出現するポケモンの種類が多く、特殊な方法で進化するポケモンとかがそこらへんを歩いているのでびっくり。進化させる手間が省けるのは楽でいいですが、ワイルドエリアのワイルドさがヤバくなりますね。

・エンディング後のワイルドエリアの★5マックスレイドバトルが勝てなくてキレそうだったのですが、パーティのレベルが上がったら勝てるようになりました。相手のとくせいによっては厳しかったりもしますが、一人でもクリアできる難易度に一応はなっているようでよかったです。

・今作はダンジョンらしいダンジョンがなかったように思いました。森や洞窟で迷子になったり、建物の中を無限にさまよったりということがなく、ちょっと歩いたらすぐに目的地についたりして拍子抜けしました。先の見えない中で、いったん戻るか先に進むか回復アイテム使っちゃうか迷いながらダンジョン攻略をするのも好きだったのでちょっと寂しい。

・「技レコード」ってちょっと洒落てますね。昔の技マシンはすべて1回きりの使い捨てだったので、それを「レコード」という古い媒体の名前でもって再登場みたいな?それにしても、昔の技マシンはストーリー中に手に入る数に限りがある上に使い捨てだったことを考えるとずいぶんと便利な世の中になったもんだと思いました。

・ピカブイ(LGPE)から引き継いで、どこでもボックスを参照できるのは楽ちんでよいですね。あと、スイッチのホーム画面からゲームを始めた時「つづきからはじめる」みたいな画面を経ずにゲームが始まるのも時短で便利。

・キャンプは複数版ポケパルレみたいな感じ?ポケモン同士が自由に遊んだりしていてかわいい。

・だがカレーライス、お前はダメ…。これの食材を考えたり採用したりした人、絶対ポケモン嫌いでしょ。ヴルスト(ソーセージ)やハンバーグはなぜか「誰かの遺体で作った可能性」を排除していないし(培養肉や植物肉だと明記すればいいのに、あえてポケモンを使用している可能性を残している)、しっぽやホネ、タマゴなんかは擁護のしようがないです(しっぽは抜けてもすぐ生えかわるとか、現実の”産業動物”の実態を見るになんの免罪符にもならないのは明らか*2)。そういう露悪的な態度を面白がる気持ちは、自分もそいういうところがあった(ある)のでわからなくもないですが、公式がこんなひどい扱いをするのはダメでしょ。許さん。

 ・サンムーンのロトム図鑑といい、今作のロトミやアーマーガアタクシーといいポケジョブといい、ポケモンを「利用する」システムが盛りだくさんなんですけど、時代と逆行してない??「労働」はもう、人でもポケモンでもなく、ポケモンデザインのロボットとかの機械にやらせておいてもよかったんじゃないですかね…*3

 

■その他

・本編とは関係ないですが、発売前の情報開示が少なめだった(体感)のはとてもうれしいです。体験版もなかったし。これからも(この先新作があるかわからんが)そうしてくれたらありがたいです。

・発売前に出された、「今作にすべてのポケモンは登場しない(過去作に登場したポケモンのうち、リストラされるポケモンがいる)」という発表に対し「#BringBackNationalDex(全国図鑑を返せ)」という抗議が主に海外勢を中心に広がっていました。スピンオフ作品において登場しないポケモンがいるのはよくあることですが、「ポケットモンスター」シリーズは第7世代までずっとすべてのポケモンに会える場所だったので、正直かなりショッキングな発表でした。制作に時間がかかるのなら、発売日を遅らせてもいいから全ポケモンを出してほしかった。ただ自分の場合は、このポケモンに会えなきゃ嫌!という特別な推しポケモンはいないし、ポケモンのゲームが出るならどんな内容でも買う人間なので不買には参加しませんでした。

・これについて、ゲームを「不買すること」も「不買を呼びかけること」も正当な市民の権利なのに、運動に対して「めんどくさい人たち」などと呼んで腐したり嫌ったりしている人たちがそこそこいるようだったのが少し気になりました。「私は不買しません」だけなら問題ないですが、「不買を呼びかける奴ら」に対する嫌悪感を表明する人が少なくない数いるようなのは不安になります。公式のやること出すことすべてを肯定して喜んで受け止めてこそ正しいファン、それが受け入れられないならほかに行けばいい、みたいなゼロイチ思考ではなく、(誹謗中傷は別ですが)公式に対する不平不満や批判的な言説に対して反射的に拒否せず、うまく受け入れたりスルーしたりできるようになりたいものです(自戒を込めて)。

・ところで今作のサウンドトラックは発売されないのでしょうか??(2021年2月現在)エキスパンションパスの第2弾もすでに配信されていて、音楽も一応出揃ったのでは?

 

■終わりに

・フツーの人々の人間中心主義がポケモン世界構築にも染み込んでいることに自覚的になると受け入れられない部分はありますが(カレーの食材とか)、それ以外の人種・ジェンダーについてはまあまあ気をつかえているようなのでそこまでストレスなく遊べるし、そのうえでポケモンはみんな魅力的で面白いキャラクターもたくさんいてよかったです。

・もうすぐ(2月27日)ポケモンデーですが、何か重大発表はあるかな…。順番的にダイパリメイクがずっと期待されていますがどうだろう…。個人的にはソードシールドをあと10年くらいじっくり味わい続けるのでも構わない派です(エキスパンションパス第3弾とかを出してくれても嬉しいけど)。

 

*1:主人公のデフォルト名。「男/女主人公」と呼ばないためにも名前で呼びます。

*2:産業に組み込まれている動物に対する扱いは、生産性重視の過密飼育や品種改良、定期的な廃用処分(殺処分)などが一般的である。

*3:ポケモンに労働させることの問題点は、パッと思いつくものでも、人間同士のように労働したい/したくないの明確な意思確認ができないこと、もし職場が劣悪な環境だったり不当な扱いがあった場合でも、ポケモン自身がその事実を誰かに伝えたり告発したりできないこと、ポケモンは別に人間のために働かなくても生きていける(野生ならそのまま人の介入なしに自立しているし、人のもとに生まれたとしても伴侶動物のようにただそこに生きているだけで終生世話されて生きる権利があるはずである)ことなどが考えられる。

ミルタンクのミルクは誰のためのモノか

(もう2月ですが)2021年の干支は「丑」です。ということで、牛がモチーフのミルタンクについて疑問をちょっと考えました。

 

 

ミルタンクはどんなポケモン

基本情報

分類は「ちちうしポケモン」。ノーマルタイプ。たかさ1.2m、おもさ75.5kg。体色はピンク色メインに、顔周りや手先などは黒、おなかは薄い黄色で、おなかの4つの乳首が印象的です。性別はメスのみ確認されています。

複数のミルタンクのイラスト

また、図鑑の説明にはこのように記載されています。

金、リーフグリーンハートゴールド、Y
ミルクは えいようまんてん。おとしよりや びょうきの ひとに とって さいこうの のみもの。
(漢字) ミルクは 栄養満点。お年寄りや 病気の 人に とって 最高の 飲み物。
銀、ファイアレッドソウルシルバー、X
こどもが うまれたときに しぼられた ミルクには いつもより えいようが たっぷり つまっている。
(漢字) 子供が 生まれたときに しぼられた ミルクには いつもより 栄養が たっぷり つまっている。
クリスタル
ミルタンクの ちちを しぼるときは うえから したへ リズミカルに おしながら しぼるのが コツだ。
ルビー・サファイア・エメラルド、オメガルビーアルファサファイア
まいにち 20リットルの ミルクを だす。あまい ミルクは おとなも こどもも だいすき。にがてな ひとは ヨーグルトにして たべている。
(漢字) 毎日 20リットルの ミルクを だす。 甘い ミルクは 大人も 子どもも 大好き。 苦手な 人は ヨーグルトにして 食べている。
ダイヤモンド・パール・プラチナ、ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2
ミルタンクの ミルクを のんで そだった こどもは けんこうで たくましい おとなに なるという。
(漢字) ミルタンクの ミルクを 飲んで 育った 子供は 健康で たくましい 大人に なるという。
サン
そのミルクは えいようまんてんで こうカロリー。ゆえに のみすぎると ミルタンクみたいな たいけいに なる。
(漢字) そのミルクは 栄養満点で 高カロリー。ゆえに 飲みすぎると ミルタンクみたいな 体型に なる。
ムーン
ミルクを とるため そだてる ひとが ほとんどだが かなり たくましくて タフなので たたかいにも むいている。
(漢字) ミルクを 採るため 育てる 人が ほとんどだが かなり たくましくて タフなので 戦いにも 向いている。
ウルトラサン
ひに 20リットルの ちちを だす。 ぼくそうの しつが よい とちほど だす ミルクは コクがあり うまい。
(漢字) 日に 20リットルの 乳を 出す。 牧草の 質が 良い 土地ほど 出す ミルクは コクがあり 美味い。
ウルトラムーン
ミルクは おいしく えいようまんてん。 ただし のみすぎると おなかが くだることも あるので ちゅういだ。
(漢字) ミルクは おいしく 栄養満点。 ただし 飲みすぎると お腹が 下ることも あるので 注意だ。
ソード
えいよう まんてんの ミルクを だす ことから ふるくから にんげんと ポケモンの くらしを ささえてきた。
(漢字) 栄養満点の ミルクを 出すことから 古くから 人間と ポケモンの 暮らしを 支えてきた。
シールド
まいにち ミルクを しぼらないと ぐあいが わるくなる。 ミルクの あじは きせつに よって かわるぞ。
(漢字) 毎日 ミルクを 搾らないと 具合が 悪くなる。 ミルクの 味は 季節によって 変わるぞ。

 

ミルタンク - ポケモンWiki(閲覧2021年1月20日https://wiki.xn--rckteqa2e.com/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF

 

乳牛がモチーフになっている

ビジュアルからも図鑑の説明からも見て分かるように、ミルタンクは「乳牛」をモチーフとしたポケモンです。図鑑説明において、ミルタンクのミルクは人間にとって最高の飲み物だそうですが、「モーモーミルク」として回復アイテムにもなっているので、ポケモンにも良い飲み物かと思われます。また、「毎日ミルクを絞らないと具合が悪くなる」「日に20リットルの乳を出す」「飲み過ぎると腹を下す」なども、現実の乳牛の"生態"や搾乳量、乳糖不耐症をモデルにしているものと推測されます。

それにしてもこの図鑑説明、かなりヤバイですね。「乳牛をモデルにしている」ことはとてもよく伝わりますが、「ポケモンという生き物としての生態」として読むと、なんでやねん??大丈夫か??というツッコミどころがたくさんあります。

 

図鑑説明ちょっと色々おかしくない?

子供が生まれたとき?

「子供が 生まれたときに しぼられた ミルクには いつもより 栄養が たっぷり つまっている」(『銀』『X』)ってこれマジで意味不明じゃないですか?「子供が生まれたとき」っていつだよ、というのもありますが(ポケモンはタマゴから生まれるが、ポケモンが「ポケモンのタマゴ」を生むことは確認されていない)、ミルタンクは子供を生まなくても年中自然に乳を分泌する生物っていうことですか?もしかして、「乳牛のメスは大人になったら自然にミルクが出る生き物」とか思われてます?そんなわけないだろ!

当たり前ですが、牛乳は「牛の母乳」です。子牛を出産した時しか出ないので、酪農用の牛はほぼ全員人口授精を経て妊娠・出産をしています。人間などの他のほ乳類で考えても分かると思いますが、出産を経験せずとも大人になったからミルクを分泌します、なんてことは基本的にありません。

なお、"品種改良"された乳牛については、妊娠期間中も乳を出し続けるので、「妊娠期間ではなく出産後」に分泌された乳はいつもより栄養がたっぷり、みたいなつじつま合わせはできますが、ミルタンクは妊娠しないのでこれも無理があります。 

 

栄養満点?

図鑑の説明では、繰り返し「栄養満点」であることが強調されています。これも、農林水産省の「栄養バランスガイド」に「牛乳・乳製品」の項目があるように、バランスの良い食事をするためには牛乳を飲む必要がある、と一般に流布され、認識されていることに由来しているように思われます。

しかし昨今「牛乳は良い飲み物」という”常識”は再考されつつあります。最新のカナダのフードガイドでは「牛乳と代用食品」のカテゴリーがなくなったし、様々な病気のリスクを上げるという研究もあります。

牛乳の健康に関する研究は対立するものが様々あるので健康問題について詳細の言及は避けますが、だからといって何も分からないし語れないというわけではありません。牛乳や乳製品を摂取して長生きしている人も、摂取せずに長生きしている人もいるわけですし、少なくとも牛乳は「有毒な飲み物」ではありませんが、「健康のために必須の飲み物」ではないというところは確実かと思われます。

また、「栄養がたくさん含まれている」というのは、確かに事実かもしれません。人間の赤ちゃんよりずっと大きな子牛を育てるためには、たくさんの栄養が必要になるわけですし。ただ、「最高の飲み物」と考えるのは、いささか無理があるのではないでしょうか。初めから栄養バランスを考えて作られた栄養補助食品のような物ならまだしも、数ある動物種のひとつの母乳です。あくまで子牛にとって最適化された飲み物であって、それが子牛以外にも最適化されていると考えるのは難しいと思いますし、同様にミルタンクのミルクの栄養も、「ポケモンやヒト」という超広範囲に最適化されていると考えるのは無理があるように思います。

 

日に20リットルもミルクを出す?

「毎日ミルクを絞らないと具合が悪くなる」(『シールド』)「日に20リットルの乳を出す」(『ウルトラサン』)という図鑑説明も、現実世界の乳牛の数値や実態を参考にしているようです。確かに乳牛は搾乳をしないと乳房炎になりやすいですし、「1日20リットル」も酪農における平均的な搾乳量です。しかし「ミルタンクの図鑑説明」として考えると、かなり不自然です。

まず「毎日ミルクを絞らないと」とありますが、本来ミルクは子供を育てるために分泌されるものなので、自分が生んだ子供を自分で育てる「自然な(野生の)」生き方をしているミルタンクであれば、「人間によって絞られないと体調が悪くなる」ということにはならないはずです。野生のミルタンクはゲーム上に存在しているので、彼女たちはいったいどのように生活しているのか、不思議な設定です。

また「1日20リットル」という数値は正直めちゃくちゃ無理があると思います。乳牛の体重は約600~700kgなのに対し、ミルタンクの図鑑上の体重は75.5kgで、ミルタンクの方が圧倒的に体重が低いにもかかわらず搾乳量が同量なのはおかしいです。そして、「乳牛の搾乳量1日20リットル」という数値は、「酪農における乳牛」においての話です。乳牛の搾乳量は"品種改良"により年々増大しており、現代の牛は、1960年代の倍の乳量を出すそうです。「本来の乳牛」の搾乳量はもっと少なく、1日に7キログラム(※リットルとキログラムはほぼ同等)と言われています。なお、「スーパーカウ」と呼ばれる搾乳量が多い牛もいますが、それでも搾乳量は一般的な乳牛の3倍程度なので、やはり体重比における搾乳量はミルタンクの方が圧倒的に多いです。

"品種改良"により8倍近い体重のある乳牛と同程度の搾乳量を誇るミルタンクの体はいったいどうなっているのでしょう?そもそもなぜ「本来の牛」ではなく「品種改良された牛」を参照しているのでしょう。ポケモン図鑑の説明は、「自然なポケモン」について書いてなかった?それとも、もう「品種改良されたミルタンク」しか存在しないのでしょうか。

 

ポケモンはフィクションですが

「インドぞう」が出てくるライチュウのように、他のポケモンの図鑑説明にもツッコミどころがあったりするし、そもそもポケモンはフィクションなんだから、そんなに細かいことは気にしなくてよくない?とか思われそうですが、フィクションならなんでもよいということはなく、むしろフィクションだからこそ、説得力のある設定を考えるべきだと思います。

別に、「設定を現実世界の生物に合わせろ」とは思いません。フィクションにより、現実世界での実践が難しいことをかなえることができ、ポケモンが現実世界の動物の代わりに消費される存在になることはむしろ好ましいことにも思います。「ライオンと仲良くなりたい(一緒に写真を撮りたい・飼いたいなど)」はライオンにストレスになるだろうから無理でも、「カエンジシと仲良くなりたい(ゲーム内で仲良くする)」なら傷つく生き物はいないし、「スナネコかわいい」などと人気が出ると密漁・密輸の増加に繋がりますが、「ヌメラかわいい」となっても、動物園やペットショップにヌメラが並ぶことはありません(グッズはたくさん売れるだろうけど)。

 

モーモーミルクはなくなる

モーモーミルクとは

ポケモンの世界には、「モーモーミルク」というアイテムが存在します。シリーズによって詳細は異なりますが、「ぼくじょう」で購入できたり、野生のミルタンクが持っていたりします。多くの場合、買う方法がちょっと面倒ですが、キズぐすりとは異なる回復量100は便利でゲーム中でも時々お世話になりました。

ゲームメインシリーズのポケモンの世界において、明確に「ポケモンの肉」が流通している描写がない一方(ハンバーグなどは登場しているが材料に何が使われているかは不明)、ミルタンクはミルクを分泌し、その分泌物をモーモーミルクとして商品化されていることは、ミルタンクのいる牧場で購入できることや、アイテムのイラストにミルタンクが描かれていることなどからも明確に描写されています。

ポケモンの肉」は「ポケモンの死」が関わることが必至なのに対し、ミルクであればポケモンを殺す必要はない。むしろポケモンと人間が持ちつ持たれつで共生している世界ーーポケモンミルタンク)はミルクを人間に提供し、人間はポケモンに住処や食事・愛情を提供する、というイメージにぴったり?!ということで、初登場の2世代(金・銀)から今のところずっと継続して登場しています。

 

ポケモンとヒトは共存してる?

ポケモンと人間は共に、学び、助け合い、仕事をし、生き、たまにはケンカしたりして、絆を結び仲良く暮らしている(劇場版ポケットモンスター『みんなの物語』より)」と映画のナレーションでも言っているように、人間は既にポケモンと良好な関係を築いている。ポケモンを苦しめるのは悪い人だけ。ということになっていますが、果たして本当でしょうか。

ポケモンの道具扱い」は悪い人達のやることで、正義側の主人公達からは非難されますが、モーモーミルクの生産のための手段としてミルタンクを利用することは、ポケモンの道具扱いにはならないんでしょうか。ミルタンク達に愛情を注いでいれば、問題ないんでしょうか。そもそもモーモーミルク生産に使われるミルタンク達はどのような環境で生きているのか、想像したことはありますか。ゲームやアニメに登場する牧場の環境が、家畜として存在するミルタンクのすべてなのでしょうか。

 

乳牛の場合

まず、ミルタンクの生態が現実世界の乳牛をモチーフにしていることから、モーモーミルクも酪農をモチーフにしていると考えるのは妥当かと思います。では、酪農業界における乳牛たちはどのような生活を送り、どのような一生が待っているのでしょうか。広い牧場で自由に草を食べながらのびのびと育ち、時々そのミルクをちょっとわけてもらって、それを売りにだしている?

そんな暮らしをしている牛たちも、ゼロではないかもしれません。でも、商品として紙パックに入って店頭に並ぶ安い牛乳の生産に使われている牛もそんな風に育っているのかといえば、残念ながら日本の大半(約7割)の牛は繋ぎ飼いだそうです。その一生は、3,4回の人工授精・妊娠・搾乳を終えたのち、生後約5年ほどで屠殺(とさつ)されて食肉用に回されます。

屠殺される動物は、何も最初から食肉用に育てられた動物に限らず、卵用のニワトリなんかも生後約2年ほどで殺されます。そりゃあ、生産性のない(落ちた)生き物をいつまでも飼い続けてたら採算とれないのでしょうがないですね。それを売ってお金を稼ごうと思うならより効率よく、”品種改良”でミルクの分泌量を増やして生産性が落ちたら廃用、次の新しい若い牛でまた搾乳しないとあんなに安く流通させられないわけです。繋ぎ飼いの方が牛を管理しやすいし、土地も狭いので放牧も難しいですね…。

ちなみに、メスの子牛は麻酔無しで角を切られるし、しっぽも同様に切除。余分な乳首を切り落とすこともあるらしいです。でもどうやらミルタンクは角もしっぽも切られている様子はないのでそのようなことは行われていないようですが、ミルタンク同士のけんかや世話をする人の安全性はどのように担保されているのか。それとも、表に出てこない大量生産用のミルタンクは尻尾が切られている子がいる可能性も…?

 

殺していなければ良いのか

一般的な乳牛の現状をミルタンクにも当てはめるなら、ポケモンの世界では大量のミルタンクが日々殺されているのではと推測するのは容易いように思います。やばい。本当に、ポケモン世界のフツーの善良な市民達は、ミルタンクを計画的に殺しながら(殺しに荷担しながら)、ポケモン達と仲良く共存しているつもりでいるのでしょうか。

ポケモン世界の酪農は、動物福祉*1が最高ランクになっているから現実世界とは事情が異なる、と考えることもできますが、これには2つの問題があります。ひとつは、作中において動物福祉に関する描写が皆無なこと。もうひとつは、どれだけ充実した福祉のもとで利用されていようとも、そもそも利用することが間違っているということです。

まず作中の福祉描写についてですが、作中における牧場のミルタンクの描写はまさにイマジナリー乳牛といった感じで、ゲームの都合上表現を簡略化していると考えても不自然です。なにせミルクを出すミルタンクしか登場せず、病気だったり年を重ねたりでミルクがまったく出なくなった世話されるだけのミルタンクがどこにいるのか不明です(個人的に覚えている限りこれらの描写はなかったと思う)。また、もし仮に全ミルタンクが最高ランクの福祉で育てられていた場合を考えても、流通できるモーモーミルクの量はかなり少なくなるはずなのに、比較的容易かつ安価にミルクを入手できている現状からして(少なくとも高級で貴重なアイテムではない)、描写されていないだけで工場式のミルタンク牧場が存在する可能性は大いにあります。なにより、すべてのミルタンク牧場が作中で描写されるような牧場なのか、そうでないのかを判断する描写やセリフはなかったように思います。よって、ポケモン世界は福祉が完璧」だと言える根拠はなにもないことになります。

そしてたとえ、作中で描かれていないだけですべてのモーモーミルク生産場で最高ランクの福祉が充実していて、誰ひとりとして殺されることなく幸せな余生を送っていたと仮定しても、モーモーミルクというアイテムの正当化は難しいと思います。なぜなら、ミルクという分泌物を得る手段として、感情のある生き物であるミルタンクを利用するということが、彼女らに対する不当な扱いであると考えることができるからです。

個人的にパートナーとしてつれているミルタンクが何らかの理由(廃業した牧場から引き取ったなど)で分泌したミルクを、その人が個人的な範囲で利用するといった限定的なシチュエーションならまだしも、計画的にミルタンクを"用意"し(十中八九人工的に繁殖させている。※個体値厳選はどうなんだ、というツッコミはなしで。)そのミルクを絞ることでしか成り立たない生産過程を経る「モーモーミルク」が、人間によるポケモンの道具的利用だと批判されても致し方ないように思います。

つまり、ミルタンクを殺さずにモーモーミルクを生産して売り上げを得ている可能性を作中から読み取るのは難しく、また流通量などからみても現実味がないことや、ミルタンクをお金儲けの手段として利用することの倫理的な問題から、「(ミルタンクを)殺さずにミルクを生産すればいいんだから、そういうことにしてモーモーミルクを(作中に)出そう」と考えることは難しいと思います。

 

モーモーミルクがなくなっても大丈夫

モーモーミルクの代わりとして、例えば「リンドミルク」みたいに「きのみ」を使った植物性ミルクを出せばいいんじゃないでしょうか。栄養についても、図鑑説明の件で述べたように、「牛乳・乳製品」は生きるために必須ではありません。牛乳でないと摂取できない栄養素はないし、牛乳に多く含まれている栄養素をたくさん含む他の食材はいろいろあります。

ポケモン世界の人間は、ミルタンクのミルクにだけ含まれる栄養素がないと生きていけないんだ!」という説を仮定するのも無理筋です。人間をそんな激ヤバ設定にする必要はないと思います。

「そんなこと(モーモーミルクは不当だと)言うなら、ポケモンバトルは大丈夫なのか」などと思われそうですが、それはそれです。倫理的な理由からモーモーミルクがなくなったとしても、他の設定や描写には直接の影響はないので心配しなくて大丈夫だと思います。ポケモントレーナーポケモンバトルの正当性は、また別途考察すればいいだけの話かと思います。

 

世界的な牛乳離れ

現実世界においては、特に欧米などを中心に牛乳離れが進んでいるようです。最近では、アメリカで老舗大手酪農会社のDean Foodsが破産申請したことも有名です。これは、一時的なトレンドではなく時代の流れなので、いずれ植物性ミルクが「普通のミルク」になって、牛乳を飲む人が少数派になることも考えられます(そのくらいにならないと気候危機や食料・飢餓問題とかを乗り越えるのは無理そうだし…)。

そうなった場合に(いつになるか分からないが)、相変わらず「モーモーミルク」を作中に登場させることは難しくなるのではないでしょうか。特に若い人達は、植物性ミルクが当たり前にスーパーや食卓に並ぶ様子を見て育つだろうし、そういった人達が今後、モーモーミルクに対して違和感や古さを覚え、「ポケモンは自分たち(若者)の方を向いていない」と感じる可能性も危惧します。

 

モーモーミルクの今後

以上のことから、「モーモーミルク」がポケモン世界に存在・流通しているということは、ミルタンクが乳牛のように使用され殺されているかもしれないのは想像に難くなく、「ポケモンとヒトの共存する世界」の描写に差し障るモーモーミルクが登場しなくなるのではないでしょうか。現実世界での牛乳離れも相まって、今後「モーモーミルク」はポケモン世界に登場できなくなるのではないかと考えます。

「モーモーミルク」や「牧場」の代替は簡単だし、いつの間にか回復量100の別アイテムが代わりに登場しても、ゲームのプレイヤーは何となく受け容れるだろうし、いつか出る新作(そんな話は今のところない)でひっそりモーモーミルクが消されている可能性は大いにあるのではないでしょうか。

 

ミルタンクを正当化する

ミルタンク自身の設定はどうする?

モーモーミルクの擁護は難しいですが、ミルタンクはなんとか擁護したいところ。ミルタンクの設定も色々不自然で正当化が難しいように感じますが、これらの設定は変更されるべきなのでしょうか。現状の設定をできるだけ引き継ぎながら、うまく都合をつけることは可能か考えてみます。

乳牛との比較を踏まえた上で、乳牛とは異なる生き物としてミルタンクを再考することで、よりミルタンクの魅力を上げることもできるのではないかと考えます。ポケモンはフィクションなので、後から事実を付け加えたり少し変更したりしても、誰かに苦痛をあたえるわけではないのがよいところです。

 

母乳だと考える場合

牛乳は牛の母乳なので、ミルタンクのミルクもミルタンクの母乳だと考えるのは、妥当な考えだと思います。この場合、「栄養満点」という設定には説明が付きますが、他の設定には少々無理が生じます。既に図鑑説明の時にも取り上げましたが、「1日20リットルって多すぎない?てか子供のミルタンクそんなに飲めるの?」「なんで人間や他のポケモンに”も”いい飲み物なの?都合良すぎない?」「子供が生まれなくても母乳が出るの?」「季節によって味が変わるって1年中母乳垂れ流しか?繁殖期とかないの?」など枚挙にいとまがありません。ポケモンの生殖についてあやふやにされていることを置いておいても、「母乳である」ことに説得力を持たせるのは難しいように思います。

 

ミルクは生存戦略性?

自身の子供のためでない分泌物の存在は、ミルタンクの生き物としての生存戦略である可能性が考えられます

甘い密を出すことでアリに守ってもらうアブラムシがいるように、ミルタンクはミルクを提供する代わりに、提供した相手からミルタンクに有利な何かをしてもらっていると仮定すれば、母乳とは異なる分泌物の存在を推測できます。

ただこれにも問題があり、第一にその分泌物は栄養価が高くある必然性はなく、甘く美味しくさえあればいいはずです。一応、これを正当化する場合「栄養価が高い」が事実でないことにすれば辻褄は合います。「〇〇が健康に良い・悪い」は常に研究され、更新され続けているので、ミルタンクのミルクの栄養価や健康への影響が見直された設定がでてきてもおかしくないと思います。

第二に、アブラムシは弱いのでアリに守ってもらうメリットがありますが、ミルタンクはそんなに弱くないので誰かに守られる必要がないように思います。「かなり たくましくて タフなので 戦いにも 向いている(『ムーン』)」と図鑑にも書いてあるし、進化しない(進化先がない)ので基本的な能力も決して低くはないです(種族値95・80・105・40・70・100)。

 

技ならありえる?

ミルタンクの日に20リットルというあまりに大きい搾乳量は、どうすれば辻褄を合わせることができるでしょうか。ミルタンクのミルクが「ポケモンのワザの一種」であることに注目すれば、一応可能かもしれません。

ポケモン達は皆「ワザ」を使用します。みずタイプのポケモンは主に口から水を出し、ほのおタイプのポケモンも同様に口から火を吹いたりします。体から葉っぱを出したりビームを出すポケモンもいます。ゲームのエフェクトやアニメのワザは、どうみてもポケモンの体格よりずっと多くの水とか出してます。ワザには使用回数(PP/パワーポイント)があるとはいえ、リットル換算でもかなりの量を排出しているようにみえます。

ポケモン世界には、「ミルクのみ」という、ミルクを飲むことで体力を回復するワザがあります。ミルタンクのミルクもポケモンのワザだから異常な搾乳量も実現できている、大量にミルクを出しても大丈夫、と考えることもできるかもしれません。他のワザも、真面目に考えるとどうやってるのか分からないやばそうなものは色々ありますし。

ただこれにも問題があり、他のポケモンのワザの水量なんかは明言されていないのに、ミルタンクのミルク量だけ具体的な数値が示されている不思議があります。「みずでっぽうは1回で何リットルの水を出す」みたいな話はないし、「ミルクのみ1回何リットル」という話ももちろんないです。他のワザは、グラフィックを見る限り量が多いように見える、以上のことは分からないのに対し、ミルタンクは20リットルという値が示されてしまいました。他のワザは分量を曖昧に濁しているのに…。

そして何より「ワザだから何でもアリ」ってやっぱつまんないでしょ。「ポケモン空想科学読本」というシリーズの本が現在4冊刊行されていますが、これもポケモンの設定を大まじめに現実の科学に当てはめて考察しているのが面白いんではないでしょうか。ちなみにミルタンクはどの本でも考察の対象になっていませんでした。酪農も、生物や科学の話と近しいと思うんですが、なぜハブられてしまったのか…。

  

まとめ

「乳牛は皆殺処分されている」という事実、ぶっちゃけ比較的最近初めて知りましたが、その時真っ先に考えたのは、「ミルタンク、やばない?」です。調べてみると、殺処分以外にも、搾乳量や栄養など、現実世界の酪農と牛乳をそのままなぞっているがために、ミルタンク自身の扱いや設定に疑問点が色々と出てきました。特に、ミルタンクのミルクは母乳なのかそれとも別のものなのかすらわからない。いったいなぜあれだけの量のミルクをミルタンクは出すのかが全く不明。生き物の設定としては穴が大きすぎるのではないでしょうか。

まあ、ミルタンクがいないことになることはまず100%ありえないのでそこは安心です(媒体によって出禁になったポケモンなどはいるけど*2ポケモン自体の存在が消されたことはないし、今後もありえないと思う)。ただ、モーモーミルクがなくなる可能性は大いにあるかと思います。モーモーミルクの代わりにはほかの植物(きのみとか)ミルクを出せばいいし、牧場は「(ファーム)アニマルサンクチュアリ*3」のような施設に置き換えればいいので、モーモーミルクが存在し続ける必然性はありません。

今後、「ポケットモンスター」シリーズに最新作が出るとしたら(今のところそんな話はないが)、ゲームフリークの人達には、非人間動物や動物倫理について勉強してゲームを作ってほしいなと思いました(メタ視点)。もしミルタンクの図鑑説明文が増えるとしたら、なんか良い感じに整合性がとれて、ミルタンク達が人間のためにミルクを出す都合の良い生き物かのような現状を変えるようなステキな文章が登場してくれればいいなと思います。

 

ミルタンクのイラスト

 

参考書籍・サイト 

エリーズ・ドゥソルニエ著 井上太一訳『牛乳をめぐる10の神話』(2020年)緑風出版

「食事バランスガイド」について:農林水産省

Canada's Food Guide

https://www.dairy.co.jp/jp/jpall.pdf

乳牛が乳を出す期間と量│一般社団法人日本乳業協会

モーモーミルク - ポケモンWiki

鶏について | たまご(卵)の通販・販売なら「農場のたまご」

珍しい動物を殺すのは誰か。偽造の衛生証明書による輸入でスナネコの殺処分が行われていた│PEACE 命の搾取ではなく尊厳を

アニマルウェルフェアについて:農林水産省

アメリカ、牛乳離れの一方で植物由来ミルクが急拡大する事情と最新トレンド _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】

アリとアブラムシ | NHK for School

ポケモン空想科学読本 | オーバーラップ

世界で増える畜産動物の楽園「ファーム・サンクチュアリ」とは? | シェリー - ペットの幸せを一緒に考える

*1:アニマルウェルフェア(animal welfare)ともいう。「動物の権利(アニマルライツ/animal right)」と混同されがちですが、別の概念です。「福祉」は、動物を利用する時にはできるだけ動物にとって快適な環境(例えば、繋ぎ飼いではなく放牧)で育てようというのに対し、「権利」は「動物を利用する」ことを否定します。

*2:TVアニメ出禁のポリゴンや、カードゲーム出禁のユンゲラーなど

*3:動物保護施設的な場所。行き場のない畜産動物を、殺処分ではなく最後まで世話をする。観光用の牧場とは異なり、動物の権利に則して食事などに畜産物を提供しない。