「世界ポケモン生態学会」なる企画が突然現れたと思ったら、『スカーレット・バイオレット(SV)』に登場する「ウミディグダ」という新ポケモンが公表されました。
世界ポケモン生態学会とは??
さまざまなポケモンが生息するパルデア地方で、
#世界ポケモン生態学会 が開催!
ポケモンが好きな方、
どなたでもオンラインでご参加いただけます!
出典:世界ポケモン生態学会(閲覧2022年10月1日JST)https://wpes.pokemon.co.jp/ja/ 【魚拓】世界ポケモン生態学会
出典:同上
サイト上の「特別講演に参加する」を選択すると、(自分が使用しているデバイスに対して)カメラやマイクの許可が求められ、まるで本当に「オンラインの学会」に自分が参加するようなギミックと共に、ポケモンの生態などの映像が見ることができます。
もちろん学会"風"なので、講演に参加すると、既に用意された動画が自動的に進みます。他の参加者(風)の人たちが小窓に映り、動画に対するコメントを話したりもします。
映像の途中で、複数回アンケートが実施され、視聴者もそれに答えることができます。多数決の形を取っていますが、実際は自分が選んだ答えに進むようになっています(一部のアンケートを除く)。
「湿地」や「森林」などが選択できて、そこの場所で暮らすポケモンの映像と、それに関する他の参加者(風の人達)のコメントが流れます。
おそらくこれは、実際のゲーム内グラフィックを流用しているっぽいですかね。ヨクバリスがきのみを食べているシーン、ヨクバリスが持っているきのみの位置が動かないのに違和感があるんだけど大丈夫か…?
小窓に映る他の参加者風の人達、グローバルな感じでとりあえずはよかったですね。学会ってこんな人いそうって感じの雰囲気もあったと思います。
ただ、司会を担っていた「ジニア博士の助手」だけ、アニメキャラみたいな話し方でちょっとウケました。ここだけは、本物の助手っぽい演出はしないんですね…。
収斂(しゅうれん)進化の概念が登場
「浜辺」の映像をみた初見では、パルデアのすがたのディグダかな…と思って騙されました。あえてそう思わせておいての「新ポケモン」でしたね。「どの説が正しいと思いますか」の選択肢は普通に「パルデアのすがた」を選んでました。ちなみにこの選択肢、他の選択肢を選んでも多数決としての結果は「パルデアのすがた」が自動的に選ばれるっぽいですね。
ディグダにはすでに「アローラのすがた」が存在するので、もしパルデアのすがたが登場するなら2例目になってしまいます。しかし、リージョンフォームが複数あるニャースの例が既に存在するので、「2つめのリージョンフォーム」がディグダに存在してもおかしくないという思考が働いたんですが、これはある意味過去作をよく追っているファンへの引っかけポイントだった感もありますね…。「ディグダも2つめのリージョンが登場するのか~」とか思って見てました。
「違う系統の生き物だが、生息環境などにより姿形が非常に似たものになる」というのは、現実の動物でもあった話だよなぁと思いましたが、これには「収斂進化」という名前があるそうです。または、「平行進化」も該当しそう?ただ「収斂進化」を「平行進化」の違いが、ネットでちょっと調べただけだとイマイチ理解できないので、その道のプロに解説してほしいところ…。
過去には、「新ポケモン」が既にいるポケモンとなんとなく似ているケースがありましたが(ケンタロスとバッフロンとか)、意図的に似せてきて、はっきりと「似ている」と明言されたのはたぶん始めてですね。
リージョンフォームには、リージョンフォームという名前があったのに対し、今回の収斂進化的な要素は、特に名付けがされていないんですね…。とりあえず現実の動物にならって「収斂進化ポジション」みたいに呼んでおきますが…。
同じような収斂ポケモンは、ディグダ以外にも登場するんでしょうか。ディグダはダグトリオに進化するので、ウミダグトリオ的な何かか、まったく別の見た目なポケモンに進化する可能性はありそう…。
ウミディグダが「ディグダとは別の生き物」とする根拠が、「住んでいるところも食べるものも違う」ということらしいですが、リージョンフォームとの違いが不明瞭ですね。「遺伝的に異なる祖先を持つ」みたいな方向での説明をしないのはなんででしょう…。「遺伝子」的な概念がポケモン世界にあることは確かなんですが(例えばデオキシスの分類はDNAポケモンだったり)、そこら辺については曖昧なままにしたいのかな…。
プレイヤーの海中への進出が今後の課題かも…
ウミディグダのモデルは「チンアナゴ」だと思われますが、チンアナゴが水中に生息するのに対し、今回の映像でウミディグダが登場したのは砂浜になります。
「海中のエサを食べている」と説明されているので、基本的な住処は海の中だと思いますが、今回の映像では、陸上で平然と暮らし、その特徴的な体をびよーんと伸ばす動きをしていて、これにはちょっと違和感を覚えました。
チンアナゴがあの動き(体を穴から伸ばす)ができるのは、チンアナゴが水中に住んでいるからじゃないでしょうか…。陸上であの動きをするの、かなり筋力というか力が必要だと思いますが、そういう設定なんですか…。
これは、プレイヤー(人間)が陸上に生きる生き物なせいで、水中に暮らすポケモンも、陸上か、水面に上げざるを得ない(ゲーム描写的に)という問題が感じられます。人間側の生息域に、無理やり他の生息域のポケモンを出現させるの、色々と問題が潜んでいると思うし、今後改善できるところだと思います。
水中や海底で暮らすポケモンが、水面や砂浜に移動させられがちだと、ポケモンの生き方の多様性が失われかねないことを危惧します。
例えば、『ルビー・サファイア』などでは「ダイビング」という技で水中マップを進むことができました。水中マップさえあれば、海底や深海に暮らすとされるポケモンと出会うことも容易になりますが、逆に水中マップがない地方だと、そのようなポケモンとの出会いが難しくなります。現状は「釣り」がそのようなポケモンとエンカウントする手段となっていますが、「釣り」自体にも問題があるのでそれでよしとはいきません*1。
また、「どのポケモンも海辺や海面でも暮らせる」となると、ポケモンのあり方を狭めることになるし、人間中心主義や陸上中心主義(?)的な偏見の問題も出てきます。現実に生きる人間(我々)が無意識に抱える、水中の生き物に対する蔑視について、ポケモンを描写する側の人間はもっと自覚してほしいです。
最近だと、『Newポケモンスナップ』において、水中を進むことのできるマップがあったのがよかったなぁとちょっと思いました。水に住むポケモンは、水中にいてこそですね…。
水中に暮らすポケモンを、地上またはそれに近い場所に設置して人間とエンカウントさせるのではなく、人間側がポケモンの住む世界にお邪魔する形でのエンカウントになったらいいなぁと思います。幸いポケモン世界の技術力は、モンスターボールなどでも分かるように結構高いようなので、水中を冒険する道具なんかは普通にありそうだし。
今後も『SV』のようなグラフィックでゲームが出る可能性が高いと思われますが、そこで「ダイビング」のようなことができるようになるのを期待します。
そういえば、もし次にリメイク作が出るとしたら『ブラック・ホワイト』になるだろうなと思いますが、ここでも一応ダイビングが使えましたね…(マップはかなり限定的だったが)。リメイク…『BDSP』…うーん…色々怖いので考えるのはよしましょ…*2。
ちなみに、『SV』におけるマップがどうなっているかはまだ不明ですが、水上を移動する方法があることは判明している一方、水中を移動できるような話は今のところないし、恐らく水上しか移動できないものと思われます。一応水中を移動できるけどそれを隠している可能性はなくもないが…。
おわりに
リモート動画風なのは面白かったですが、普通の動画みたいに一時停止したり、好きなところにスキップして視聴できないのが不便なのがちょっと不満点としてあります。後で1本の動画として公式が上げてくれないかな…(非公式でなら見れなくもないが)。
でも色々新しいことをやってくれるのは面白いし、リモート動画風ということで流行にのっているのもいいと思います。
もう10月に入って、11月の発売が目前に迫っているので緊張してきた…。ちゃんと完成されたゲームでありますように!
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