#トランス女性への差別に反対します
ポケモンシリーズに登場する人は皆、「シスジェンダー・ヘテロセクシャル・ヘテロロマンティック・モノアモリー」とわかるキャラしか存在しないと思っていましたが、『ポケットモンスターX・Y』(2013年発売)にトランス女性とおぼしきモブキャラクターがいたことを最近知りました。
Today's trans woman of the day is Beauty Nova from Pokémon X&Y!
— Trans Woman Character Of The Day (@TransGirlPerDay) 2021年7月24日
She is canonically trans. pic.twitter.com/xqkL9UWDQr
「このキャラ、トランスジェンダー?」
下記、ゲーム翻訳比較の英語サイトにて、日本語版だと明らかにトランスジェンダーらしいが、英語版だとそれがぼかされていることが指摘されています。
Is This Character in Pokémon X/Y Transgender? « Legends of Localization
※上記サイトでは、日本のファンアート(NSFW!と書かれているリンク先)をきっかけに、トランスではないかという指摘がなされていますが、そのファンアートが載っているPixivのタグが差別的なので閲覧注意です。
はんとしまえは カラテおう だったのに
いがくの ちから って スゲーよね!
Yes, a mere half year ago I was a Black Belt!
Quite the transformation, wouldn't you say?
出典:Is This Character in Pokémon X/Y Transgender? « Legends of Localization
(閲覧:2021年7月26日)
日本語版においては「いがくのちから」という記述から、なんらかの医療的措置を受けていることがわかりますが、翻訳版ではその「医学」に関する記述がなくなっています。
Beauty Novaについて
Beauty Nova(おとなのおねえさんのサングリエ)は、『XY』の「バトルハウス」という施設に登場するモブトレーナーの一人です。
「バトルハウス」は、このゲームにおけるやり込み要素的な場所なため、『XY』をプレイしていてもこのキャラと会ったことのない人もたくさんいるのではないかと思います。
ちなみにモブトレーナーなので「おとなのおねえさん」という肩書のキャラは、『XY』において全員この見た目をしています(念のため)。
問題点
トランス女性のキャラクターが登場することはいいことだと思いますが、その描写や内容には問題があるように思います。
まずひとつに、彼女のセリフには、性別は身体性で決まるかのような偏見を助長しているという懸念があります。なぜなら、「体が"女性のように"なったから女性になった」かのように受け止められるセリフになっているためです。ジェンダーアイデンティティは、その人自身が決めるものであり、どのような体つきの人が女性なのか、というジャッジは不当であると考えます。
また、このキャラがモブすぎるという点も問題です。『XY』をプレイしている人のうち、いったい何人が彼女のセリフを見たことがあるんでしょうか。ポケモンは対戦ゲームとしての知名度もありますが、結局、ポケモンのゲームをプレイしている人のうち、バトル施設に挑むのはあくまで一部の人々にすぎません。
立ち絵のあるメインキャラクターや、せめてストーリー攻略時に戦うモブトレーナーに、性的マイノリティーのキャラクターを登場させるべきではないでしょうか。「バトルハウス」に登場する「おとなのおねえさんのサングリエ」をもって「ポケモンにも性的マイノリティのキャラがいるぞ」と宣言するのは少し厳しいと思います。
そしてさらに問題なのが、ファンのモラルです。リンクは貼りませんが、最初に紹介したサイトのリンク先のPixivアートのタグを見ればわかるように、トランス女性のキャラクターが登場した時の"ファン"の態度は差別的です。「公式が病気」のタグだったり、マジョリティの「性癖」として消費しようとする態度など、2013年の投稿とはいえひどいし、2021年現在でもおそらく状況はたいして改善していないと思われます。
まとめ
『XY』の「バトルハウス」に「おとなのおねえさんのサングリエ(Beauty Nova)」というトランス女性のキャラクターが存在しました。ただ、そのセリフが偏見を助長する内容なためか、理由は不明ですが、英語版ではトランスであることが濁されています。
おそらくゲームフリークは、「性的マイノリティのキャラを出そう」というよりかは、ネタとして「性転換キャラ」を出した可能性も否めません。実際"ファン"の受け取り方もそのような感じでした。
ゲーフリにはいいかげん、「当たり前に存在する人間」として性的マイノリティのキャラクターを出してほしいです。できればキャラを出すだけでなく、不当に権利を侵害されていることへの言及もしてくれればなおよい。あと、そのようなキャラが出てくると、ネタにしたり一方的に消費したりする人間は恥を知れ。昔に比べれば、性的マイノリティのキャラクターに対して真剣に受け止める人が増えていると思われるのが唯一の救いです。自分も2013年当時だったら、「おとなのおねえさんのサングリエ」のことに気付かなかったと思うので、キャラクターの受け止め方についてはこれからも考えていきたいところではあります。
参考
リンク集(日本) – Trans Inclusive Feminism
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